【新唐人2016年07月07日】
中国政府系メディアの報道が、海外在住の中国人社会に強い反撥を引き起こしています。問題の報道は、外国籍をもつ中国人が中国へ入国した際、24時間以内に滞在地の公安局へ届け出なければならず、もし違反すれば罰則が科せられるというもので、多くの中国人が不満の声を上げています。専門家は、中国政府が今このタイミングにこの規則を取り上げたのは、治安維持の取締りを強化するとの意思表示ではないかと見ています。
7月1日付人民網の報道によると、南寧市公安局出入国管理分局が近く南寧帰国華僑連合会を訪問し、中国出入国管理法の規則について説明を行うとのことです。同法では、外国籍中国人を含む外国人が中国国内に滞在する場合、滞在先の宿泊施設が現地の公安機関に宿泊者の届け出を行わなければならず、宿泊施設を利用しない者は滞在先に到着後24時間以内に公安局へ届け出なければならないとの規定が定められているといいます。
宿泊手続きを行わなかった外国人には2000人民元(約3万円)以下の罰金、不法滞在と認められた場合は最高1万人民元(約15万円)の罰金が科せられるか、もしくは5日~15日の拘留処分となるとのことです。
この消息が伝わるや、海外のメディアや論壇は「重大ニュース」として、中国人への注意喚起を呼びかけました。海外に在住する多くの中国人に不満の声が高まっています。
海外在住中国人の李さん:「このような規則はとても煩わしいね。ある国、ある地域に合法的に滞在するためには、合法的なビザや在留資格を持っていなければならないのは当たり前の話です。私が中国へ帰ることができるのは、合法的なビザと在留資格があるからで、それに加えてさらに24時間以内に公安局へ届け出なければならないなど、あまりにも度を超していると言える。こんな規則は、一般庶民の生活を掻き乱すものだ。」
この報道を受けて、インターネットでは猛反撥の声が溢れています。「空港で入国審査を受ける時にデータはすべてコンピューターへ記録されるだろ。なんでまた届け出る必要があるわけ?」「入国を届け出る必要がある国なんて聞いたことがない。中国に帰るのは家族や親族に会うためなのに」「監視尾行器にでも紐づけとけば効果絶大だね。一分一秒とも離れずに尾行できるように。トイレの中にまでついてくるだろうさ」などの不満や嘲笑の声が相次いで投稿されています。
中国ネット評論家・劉逸明氏:「この規則はまったく不合理なものです。外国人が中国に入国する際、すべてのデータは入国管理局システムに記録される上、自動的に公安のデータシステムにも記録される。それに、現在の先進技術をもってすれば、もしも本当に尾行や監視がしたければいとも簡単にできる。それなのになぜまたいちいち届け出なければならないのか。そんな必要はないはずです。もしこんな規則を実施すれば、中国を観光に訪れようと思う外国人はいなくなるでしょう。」
また、海外メディアの調査によれば、この規則は新しいものではなく、2013年7月1日に適用が開始となっているものの厳しく実施されていませんでした。当局が今年の7月1日になって再びこの規則に言及したのは、今後、この規則の実施を強化するつもりであると考えられます。
中国ネット評論家・劉逸明氏:「現在中国社会は大きな矛盾を抱えているため、当局は非常に心配しています。いわゆる「外国の敵対勢力」が中国に入ってきて、人民を煽動し治安を乱すのではと。しかし、こんな心配は無用でしょう。これではまるで当局がすべてを敵と見なす疑心暗鬼の塊になっていることを公表しているようなものです。」
一方、中国の法律家の中には、この規則を強化する対象は一般民衆ではなく、中国共産党の役人だとの見方もあります。
中国人権派弁護士・李向陽氏:「現在、人民代表から国家の幹部に至るまで、多くの共産党の役人が外国の国籍を取得しています。言葉を替えれば、現在中国では多くの『外国人』が中国人民として政府の役人や人民代表になっているわけで、非常におかしな状況なのです。もしも法律の規定に従って、外国籍中国人が中国に滞在する場合に届け出をしなければならないということになれば、その届け出によって、いったいどれほど多くの中国人の代表が外国人なのかが分かるでしょう。」
中国人権派弁護士の李向陽氏は、中国政府が制定した多くの法律や法規とは、社会規範を規定するためではなく、人民を統制し制裁するために道具でしかないと指摘しています。そして今、ますます多くの民衆がこの矛盾に気づき始めているのです。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/07/06/a1274728.html(中国語)
(翻訳/白白 映像編集/李)